板垣弘志さん

山形の米作り名人

山形県鶴岡市羽黒町でこだわりのコメ作りをしています

現在米作専業農家として、12町歩(ha)を耕作していますが、委託された耕作地が散在しているので、全耕作地を回ると、50km以上移動することになるとか。

生産したお米の付加価値を上げるため、有機米で自分ブランドの日本酒を醸造したり、様々な餅加工品を手掛けたりしています。
間もなく還暦ということですが、かつて長距離ランナーとして鳴らしたその体力は衰えることを知らず、忙しい農作業の合間に、米の販路を自ら開拓するため、全国を飛び回っています。

・板垣弘志さん渾身のササニシキ『引立て上手』*JAS認証有機
・板垣さんのJAS認証もち米『でわのもち』

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板垣さんの米作りのこだわり

種まき

板垣さんの農場のお米の種まきは、毎年4月上旬~中旬に屋内で行います。
種箱に土を敷き、そこに種もみを撒き、さらに土をかぶせます。
その一連の工程を種まき機械が行ってくれます。

種もみ

消毒を終え、発芽を待つ種もみです。
板垣さんの手のひらに、深く刻まれたしわは、種もみに触れればそれがどの品種かをすぐに感知識別するセンサーです。

苗代(プール育苗)

板垣さんの苗代は「プール育苗」です。
水を張る前の田んぼにビニールシートでプール(苗箱を並べる苗代)を作り、苗箱を並べてシートを架け、水分を絶やさないように管理します。
通常の「ハウス育苗」に比べて、温度管理や水分管理はラフになり、苗の成長は遅れますが、その分環境変化に強い苗ができると言われています。
畝ごとに違う品種を並べます。

板垣さんの田んぼから月山遠望

鶴岡市のはずれにある板垣さんの農場からは、万年雪の山月山の姿がひときわ美しく見えます。
板垣さんのメインの田んぼは、ミネラルたっぷりの月山の豊かな雪解け水で潤されます。
代々くりかえされてきた田んぼへの湛水で、土壌の豊かさが維持されてきました。

田植え前の苗

以前、プール育苗した苗が青々と育っています。 板垣さんは、比較的若い2.5葉段階で田植えします。 (板垣さんは「稚苗」と呼ばれる段階での田植えで、3.2~3.5葉になると「中苗」と呼びます。)

田起こし

田植えの最終準備は、田起こしをして、そこを均すこと。

雑草刈

有機栽培の田んぼでは、害虫を田んぼに入れないことが大変重要です。
そのために畦の草刈りを田植え前に行い、害虫の隠れ家を一掃します。

害虫ガード

稲を水中から枯らせるイネミズゾウムシを田んぼに侵入させないために、田んぼの外周に害虫ガードを張り巡らします。
(田んぼの害虫ガード設置の作業中に後ろに「特急いなほ」が通過していきました。)

紙マルチセット

有機栽培の田んぼの雑草対策の一つが、紙マルチシートの利用です。
紙マルチは使用後焼却が可能で、環境に優しい資材ですが、破れやすく扱いにくいのが難点です。

田植え

紙マルチを敷きながら同時に植え付けていく田植えです。
紙マルチが絡まないように、田植え機は、最低スピードでゆっくりと進めます。
有機栽培は、すべての工程に慣行農法の3倍以上の時間がかかります。